Kちゃんは2歳の男の子です。最初の委託を経ていったん実親さんのもとへ帰りましたが、再び私たちのもとに戻ってきました。

最初にKちゃんを迎えたとき、Kちゃんは1歳3か月でした。首がやっと座るかどうかという状態で、お座りもままならず、寝返りがやっとでした。表情の変化は少なく、気持ちを読み取るのが難しい赤ちゃんでした。顔を見ても目を合わせようとせず、首を横に向けたり、目を閉じたり、白目になったりしていました。首を横に向けるのはまだしも、目を閉じたり白目になったりする様子は、これまで接してきたどの赤ちゃんとも違い、強い違和感を覚えました。

離乳食とミルクは半々くらいでした。スプーンを口元に運ぶと口を開けましたが、食べ物が口に入っても表情に変化はありませんでした。食事中のKちゃんをじっと見つめても、目を合わせることはなく、ただ淡々と食べるだけでした。

お風呂は、服を脱ぐときから表情が曇り、浴室に入るとぐずり始め、湯船に入ると大泣きしました。しかし、お湯に浸かってしばらくすると落ち着き、柔らかな表情に変わっていきました。   嫌なことには敏感に反応するのに、嬉しいことや喜びに対してはあまり感情が動かない。あるいは、そもそもそれを表現する必要がなかったのかもしれません。

時間はかかりましたが、Kちゃんは次第に豊かな表情を見せるようになり、お座りができ、ハイハイができ、つかまり立ちもできるようになりました。食事のときに「あーん」と声をかけると口を開け、笑顔を見せ、体を揺らして喜びを表現するようになりました。お風呂でもお湯に浸かると満ち足りた表情を見せ、キャッキャと笑い声をあげるようになりました。その変化は本当に劇的でした。委託後1か月ほど経った頃から急に変化があり、その後は一気に加速しました。私たちは毎日、Kちゃんから幸せをもらっていると感じていました。

やがて、帰る日が訪れました。私たちは寂しさを抱えながらも、実親さんと親子の愛情を確かめ合い、健やかな成長を願って送り出しました。

しかし、Kちゃんは再び私たちのもとに戻ってきました。戻ってきたKちゃんは、最初に迎えたときと同じような状態で、再会を喜ぶ余裕などないほどでした。それでも、私たちはKちゃんを信じ、再スタートしました。Kちゃんを抱きしめ、小さな手を握り、今日も一緒に遊び、笑い合う時間を大切にしています。

私たちは実子3人の子育てを終え、子育てには少なからず自負があります。また、Kちゃんが初めての委託児童というわけでもありません。しかし、これまでの経験にとらわれすぎないよう心がけています。家庭養護は「チーム養育」です。多くの方々の知見を生かしながら養育していくことが、何より大切だと考えています。なぜなら、里親は子どもを迎えるたびに、毎回新しい経験をするからです。

複雑な生い立ちを背負う子どもと生活を共にすることは、これまでにない苦労の連続です。それでも子どもから多くを学び、私たちは日々成長を感じています。支えているつもりが、実はたくさんのことを教わっていて、私たちの心も育っているように感じます。 養育の苦労は、生活を豊かにして返してくれているような、そんな実感を抱きながら、今日もKちゃんと向き合っています。

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